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詳細🌊 シーサイドガイアリゾートホテル ― 蒲生から始まる「防災のまちづくり」
仙台市宮城野区・蒲生(がもう)地区は、2011年の東日本大震災で甚大な津波被害を受けた地域です。震災当時、この地域にあった現在のシーサイドガイアリゾートホテルの建物も、当時は別用途(ラブホテル)として営業しており、津波の襲来の報を受けて避難してきた人々の中には、この建物に避難することをためらい、避難が遅れてしまった方も多かったそうです。
当時の建物は約1メートルの津波による浸水を受けましたが、幸いにも被害はほとんどなく、地域の記憶を留める存在として残されました。震災から十四年を経た今、私たちガイアグループはこの建物を「ためらいなく駆け込める避難の場所」「命を守るシンボル」として再生する決意をもってリノベーションを進めています。
そして、私たちは 「海の恵みと美しさ、そして安心安全のまちづくり」 を、ガイアグループの理念である蔵王福祉の森構想に支えられたアルベルゴ・ディフーゾ(分散型宿泊)の仕組みを発展させながら、ここ仙台港・蒲生地区で具体的に実現していきます。
👉 参考:『歴史としての東日本大震災―口碑伝承をおろそかにするなかれ』(岩本由輝 編/佐々木秀之氏 他執筆)/仙台市「東日本大震災に関する記録誌一覧」
■ 建物の構造と防災設計
現在のシーサイドガイアリゾートホテルは、鉄骨造二階建てで、一階部分は駐車場とフロント・スタッフルームのみで構成されています。宿泊客室はすべて二階部分に配置されており、二階床面は地盤面から約3.2〜3.5メートルの高さを有しています。この構造は、津波や洪水時に水圧を逃がす「ピロティ構造」に近く、一階を開放的に設計することで流体圧を減衰させ、建物自体への損壊リスクを低減します。
また、一階部分を人命保護の通過空間として機能させ、避難者が屋内階段・外部階段から迅速に二階高所へ垂直避難できるよう計画しています。停電時には屋上に設置した発電機を活用し、夜間でも安全に避難できる環境を整備します。
さらに、電気設備(キュービクル)や受水槽、給湯ポンプなどのライフライン設備はすべて屋上に移設し、浸水時にも機能を維持できる構造としました。非常時には二階の客室・共用部を開放し、最大約40名の一時避難受け入れが可能です。
👉 参考: 国土交通省「津波避難ビル等に関する構造基準」
■ 蒲生地区の復興と防災インフラ
震災後、蒲生地区を含む仙台市沿岸部では大規模な復興事業が進められました。
現在、若林区藤塚から宮城野区蒲生にかけての約8.5キロメートル区間には、T.P.+7.2メートルの海岸堤防が整備され、L1津波クラス(数十年から百数十年に一度の規模)に対応しています。沿岸部全体では、津波避難タワー6基、津波避難ビル5棟、学校屋上避難階段2箇所など、計13の避難施設が整備され、「逃げやすいまちづくり」が着実に進められています。
蒲生干潟背後には新たな堤防が築かれ、環境保全と防災の両立を図る新しいまちの景観が形成されました。私たちは、この地域の安全性が高まった今こそ、「震災の記憶を継承しつつ防災の拠点となるホテル」として再生すべきだと考えています。
■ ガイアグループの防災への取り組み
ガイアグループは、東日本大震災の発災直後、代表の相澤国弘が会長を務めるみやぎ蔵王別荘協議会を通じて、蔵王山水苑内の別荘を避難所として開放し、延べ300世帯以上の被災者を受け入れた実績があります。その後も5年以上にわたり生活再建支援を継続し、被災者の暮らしの再構築を支えました。
この経験をもとに、2025年6月には宮城県・蔵王町・みやぎ蔵王別荘協議会の三者で防災協定を締結し、非常時における宿泊施設の提供・支援物資拠点としての活用モデルを確立しました。さらに現在は、茨城県河内町とガイアグループ本体との防災協定も締結し、広域的な災害支援ネットワークを構築しています。
👉 参考: ガイアグループ公式ニュース「防災協定締結」
👉 参考: PR TIMESプレスリリース「蔵王町・宮城県・ガイアグループ三者防災協定」
これらの実績をベースに、シーサイドガイアリゾートホテルでは仙台市との防災協定締結を目指しています。
この協定では、津波避難ビルまたは一時避難施設としての位置付けを正式に認めていただき、地域住民・観光客・沿岸事業者がためらわず避難できる体制を整えることを目的としています。
■ 結びに
海と街をつなぐ場所――それが仙台港・蒲生です。
シーサイドガイアリゾートホテルは、観光と交流の拠点であると同時に、「命を守る最寄りの高台」としての使命を担います。
東日本大震災の教訓を風化させることなく、地域住民・行政・民間が手を取り合い、「にげやすいまち」「ためらわない避難」の実現を目指します。
そして、あの日“ためらわれた場所”を、“誰もが安心して駆け込める場所”へ――。
私たちは、シーサイドガイアリゾートホテルから新しい防災のまちづくりを始めます。
